はじめに

将来の資産運用って、平均4%の利回りで考えることが多いですが、現実は毎年バラバラ。
「いい年もあれば、リーマン級の下落年もある」というのが実態です。
そんな中で、「この資産で本当にFIREして大丈夫?」をチェックするのに使えるのが【モンテカルロ法】です。
この記事では、FIRE設計にも活用されているモンテカルロ法を初心者向けにやさしく解説します。
モンテカルロ法ってなに?
◆ 一言で言うと…
「未来の値動きを“乱数”で何千回もシミュレーションする方法」
同じ条件(初期資産、年率平均、取り崩し額など)でも、毎回ランダムに変動を入れて試すことで
「どんなパターンでも耐えられるか?」をチェックします。
なぜFIREに使えるの?
FIREでは「毎年いくらか取り崩して生活する」という前提があります。
でも、下のような年が続いたらどうでしょう?
- 1年目:-20%の暴落
- 2年目:+5%と少し戻す
- 3年目:±0%
- 4年目:+15%
たとえ平均4%の利回りだとしても、「取り崩すタイミング」が悪ければ資産はどんどん減っていくことも…。



そんなリスクをチェックするのにモンテカルロ法はぴったりなんです。
どうやってシミュレーションするの?
◆ 必要な前提
以下の5つを設定します。
項目 | 内容 | 例(ラッコパパの場合) |
---|---|---|
初期資産 | FIRE時に用意できた資産 | 1億円 |
年間支出 | 毎年の生活費(税引後) | 240万円(=月20万円) |
平均リターン | 年平均の資産成長率 | 4.0%(例) |
年間の変動幅 | 年ごとのリターンのブレ | ±15〜20%程度 |
試行回数 | シミュレーションの回数 | 10,000回など |
◆ 実際の計算ステップ
- 資産を1年分減らす(支出:240万円)
- ランダムに年リターンを設定(例:+8.2%)
- 増減後の資産額を記録
- これを30〜50年分繰り返す
- 1セットとして、“資産が尽きたか”を記録
- 上記を10,000回繰り返し、「何%の確率で資産が持ちこたえたか?」を集計
この一連の流れをExcelやPythonなどでプログラムすれば、誰でも試せます。
具体例(Excelでの簡易版)
FIRE後に毎年240万円を取り崩しながら、ランダムに年4%±20%の利回りで資産が変動したと仮定。
1回目のシミュレーションはこんな感じになります:
年数 | 資産残高 | 取り崩し | ランダム利回り | 増減後資産 |
---|---|---|---|---|
1年目 | 100,000,000円 | -2,400,000円 | +3.5% | 100,161,000円 |
2年目 | 100,161,000円 | -2,400,000円 | -7.1% | 90,935,571円 |
3年目 | 90,935,571円 | -2,400,000円 | +12.2% | 99,258,713円 |
…というふうに30〜50年分繰り返し、「0円になったか?」を確認します。
無料で使えるモンテカルロシミュレーター(日本語)
自分でExcelやPythonを組まなくても、FIRE用の無料ツール(日本語)がいくつかあります。
特に使いやすかったのは以下の2つです。
1. FIRE成功率シミュレータ(helve-blog)
- 入力項目:元金、期待リターン、リスク(標準偏差)、年間支出、シミュレーション回数など
- 特徴:年率リスクと期待値を入れるだけで、即座に成功率が見える
- URL:👉 https://fire.helve-blog.com/
2. カネグリ(アーリーリタイア試算ツール)
- 入力項目:年齢、資産、資産配分、支出、為替、収入など細かく指定可能
- 特徴:実データベースから抽出してシミュレート。為替やインフレも考慮できる本格派
- URL:👉 https://kanehima.com/kaneguri/
FIRE設計にどう活かす?
僕自身、このモンテカルロ法を使ってシミュレーションしたところ、
「全額インデックス投資(オルカン100%)」では成功率は65〜70%程度という結果でした。
平均リターン4%でも「資産が尽きる未来」はゼロじゃない。



だからこそ、最初から「取り崩しすぎない」ことを意識したポートフォリオ設計をしています。
具体的には、以下のような構成です。
- 資産全体:1億円
- うち6,000万円を高配当ETF(VYMとSCHD)で運用
- 残り4,000万円をオルカン(全世界株式)で長期成長を狙う
高配当ETFは年3%の利回りを想定しているので、
6,000万円 × 3% = 年180万円の配当収入が見込めます。
さらに、オルカンから年60万円(=月5万円)を取り崩すことで、
年間240万円(=月20万円)の生活費に充てる設計です。
この前提で再度モンテカルロシミュレーションを実施したところ、
成功率は85%前後という結果に。
「暴落が起きても資産が枯渇しにくい構成にしたい」という目的に対して、
再現性があり、精神的にも安定できる設計だと感じています。



まとめ:平均じゃなく“耐性”をチェックしよう
モンテカルロ法は、「資産が尽きる未来」を回避するためのリスクチェックツール。
FIREは長期戦です。
「平均利回りが○%だから大丈夫」ではなく、「どんなパターンでも耐えられるか?」が大事。
ぜひ一度、あなたの資産でもモンテカルロ法を使ってFIREの“耐久力”をチェックしてみてください!
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